top of page
検索

釣技 ”予測合わせ”

  • infodekaban
  • 3月19日
  • 読了時間: 6分

この「予測合わせ」の発端は昭和46年の6月21日に遡る。


場所は九州最東端、大分県鶴御崎港。全日本磯釣連盟の全国連合懇親大会で西日本九州支部と九州支部がホスト支部として合同でお世話をして頂いた時だった。


その折、私のもう一人の師である(故)栗林峰太氏と私との間にこんなやり取りがあった。 栗林「松ちゃん、先の瀬の石鯛は釣りきれんから、やめときない。(やめておきなさい)」

松永「何故ですか?!」




栗林「瀬の先は潮流が激しいので1人~2人しか釣る人は居らん、瀬の先の石鯛は流し釣りじゃけん、普通の人は釣りきらん。」

続いて師は

栗林「松ちゃん、このテンビンで灯台下の石鯛釣りない。(釣りなさい)」

この”激流での流し釣り”こそが予測合わせの釣り方だったのだ。 瀬の先の石鯛が私の頭から離れなかったが、その時点ではどうすることもできなかったので、師より譲り受けたテンビンを使用し、オモリはステオモリ式、エサはカラス貝を使った。 この時、全国大会の石鯛部門第2位に入賞した。 ちなみにこの時に頂いたテンビンを私なりに改良したものが「小栗松テンビン」である。 ※ホームページ”小栗松シリーズ” 小栗松テンビン参照


以降はこの「予測合わせ」について解説していきたいと思う。

「予測合わせ」とは、石鯛にエサを喰わせて、喰った瞬間に針掛かりさせるという究極の技だ。 これを習得するに豊富な実戦経験や以下のようなスキルが必要となる。

1.手持竿を自由に操り、腕の延長として竿を扱うことができ、どちらの手でも片手で振り出しが出来る。

2.リールの道糸を足元に10~30m程度を足元に引き出し、片手で竿を振り出し、同時にもう片方の手でこの道糸を送り出すという扱いがどちらの手でもこなせる。 ※道糸を踏んだり絡まったりすると大変なので、足場が凸凹の場合には敷物を使用したり海水を汲むバケツに道糸をたぐり入れておくと糸絡みは少なくなる。 また以下のような条件を好む方は予測合わせを行うことは困難と思われる。

1.竿受け(ピトン)に竿を置く釣法をを好む方。

2.エサにサザエ、トコブシ、カニ、ウニ等の硬いエサを好む方。

3.持ち竿で立ったまま石鯛の当たりを待つ方。

道糸の長さ(リール)は石鯛がエサを喰う距離を測り位置を決める。 一般的には石鯛が掛かれば左腕で竿を抱いて右手で道糸をたぐりよせ、釣り上げるまでにたぐりよせた道糸の長さ(距離)がおおよそ、石鯛の居る距離に相当することがわかる。 潮流が激しく流れるところでは、これらを全て踏まえた上で初めて「予測合わせ」が実践可能となる。

激流の中にいる石鯛は磯の壁にへばり付いて、潮上の方向を向きエサを待っている。 (重要:潮流が速ければ速いほど超特急でエサに飛びつき、喰いつく。逆に緩い流れの時には、まるで鈍行のように、ゆっくりと喰いつく。) そこで何故、この「予測合わせ」が必要なのか。 それは潮汐には「干潮」と「満潮」があり、1日に2回ずつ切替わる。 これを一般的に潮変りと言う。 また上り潮と下り潮によっても潮流が異なる。 釣磯に登磯して置き竿で釣りをしていると仮定して、実際に潮変りが始まったとすると、その釣場所によっては20号~30号、また50号や、時には100号のオモリでさえも簡単に流される。当然、道糸やエサも流されるので、そのままではまともな釣りが出来なくなる。 そこで「予測合わせ」の出番。

今回は実際に釣磯から釣りをしていることを前提として解説していく。 便宜的に釣座から向かって右から左の方向に潮が流れているものとする。 ※潮流はどちらから流れていても、また流れが緩くても激しくても同じ。(但し石鯛が釣れる地域や釣場所・釣座で釣果が出ている場所で行うことが大前提)

まず、釣座から海底までの水深を予測し、道糸を水深の2倍程度出す(水深15mなら15m×2=30m) 次に仕掛けは前述の小栗松テンビン仕様で、全遊動式。 オモリは反転脱出機構で脅威の回収率を誇る3連チェーンオモリを使用する。 ※ホームページ”小栗松シリーズ” チェーンオモリ参照 この際の捨て糸は底より1.5m~2.0mぐらい。また根ズレワイヤーや瀬ズレワイヤーは使用しないことも重要。 道糸が潮流に乗り、オモリは潮流より少し遅れる程度に調整する。 ワイヤーハリスの先には、むき身(カラス貝、赤貝=サルボウ)や岩イソメ(本ムシ)その他、出来る限り軟らかく、かつ美味しいエサを付け海底から1.0m~1.5m前後を目安にワイヤハリスと海底が平行になる様に流し続ける。 石鯛のへばり付いているポイントに繰り返し、繰り返しエサを送り続け、エサと石鯛が一直線上になるように意識して、石鯛の臭覚と視覚を同時に刺激し残存性本能を覚醒させる。


この時の姿勢は両足は広げ、腰は下ろす。 また向きは潮下の投入ポイントに対して正面か45度程度傾いても良い。 竿先は潮上へ、水深の分だけ右手で振込み、左手で道糸を送り、正面の下にオモリが着くことを確認しつつ、左手方向に両腕で前かがみの姿勢で、道糸の流れ、オモリの流れ、エサの流れを感じ取る。 この時のポイントとしては上で述べたようにエサは海底から1.0m~1.5mを目安に平行に、壁にへばり付いている石鯛に竿、道糸、エサが一直線になるイメージで流す。

打ち返しをする際には竿をあおり、股の真ん中に左腕で抱きかかえる様に立て、両手を交互に使い道糸をたぐりよせ、足元に重ねるようにする。前述のように踏んだり絡まったりすると大変なので敷物や水汲みバケツを利用すると良い。 また竿を立てると穂先のガイドに道糸が絡むことがある為、振り出す際は、穂先には細心の注意が必要である。絡んだまま振り出すとどうなるかは言わずもがなである。 私はガイドがない「インナー穂先」を使用しているので道糸はほとんど絡まない。 ※ホームページ”小栗松シリーズ” インナー穂先参照


最後は「打ち返し」の重要性について述べたい。 打ち返しとは、その名の通り、打っては返すという意味で、何度も何度も、繰り返し新鮮な美味しいエサを惜しみなく、確実にポイントへ送り込み、エサの状態の変化を的確に察知・判断することで石鯛とのコミュニケーションを図る、極めて重要性が高く経験や勘がものを言うスキルである。 どのポイントで変化があったのか、エサはそのままなのか、また半分喰われているのか、一瞬だけ喰って吐き出したような痕跡があるのかどうか…これらを瞬時に判断して打ち返しを繰り返し、海底から水深1.0m~1.5mを保持しながら、道糸の微妙な変化を読み取り、全神経を集中させ、速い流れの中で合わせのタイミングをつかむ。

そしてエサを石鯛の口に届け、喰った瞬間を合わせる。これぞ「予測合わせ」の極意。

 
 
 

Comments


bottom of page