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持ち竿スタイル

  • infodekaban
  • 3月19日
  • 読了時間: 2分

鹿児島県の野間池に釣行したときのことである。


師の小川氏は私に持ってきた竿を見せてみろというのである。


私は持参した竿3本を師に見せた。


師は3本共素振りして、3本中の1本を取り出し


「この一本なら何とか使える、今日はこの竿で釣ろう」と言った。


その竿はオリンピック製のオーシャンロットと石鯛竿で重くて太い剛竿である。


師はピトンは使用しない。道糸は22号、オモリは中通しの8号、ハリは16号、餌は道中の魚屋で一袋30~40ヶ入のアサリを3袋買ってある。


師は「松ちゃん、今日は矢引きの12か13やで」と言う。


「矢引き」とは矢を引き絞ったときの左右の手の間隔のことで、1ヒロより短く、半ヒロよりも長い。


いよいよ師による特訓が始まった。


海はベタ凪、磯の上は師と二人で、師の釣りを目の当たりに出来ることに、私は興奮し心臓が今にも飛び出しそうだった。


竿はガイドのない竹の「延べ竿」のごとく、アサリのムキ身を針に付けると、矢引きで糸をくり出し、餌のアサリに全神経を集中してる様子が伺える。


この一連の流れるような動作は実に見事と言わざるを得ない。 ほどなくして師は、いとも簡単に石鯛を磯にぶり上げた。


未だ嘗て見たこともない光景に気が動転していると、


すぐさま師は「松ちゃん、絵になっとるか?」と聞き


次に「はい、松ちゃんやりなさい」と私に真似するように言われた。


まずは餌のアサリをハンマーで割るのだが、割れども割れども身が潰れてしまい、難しさは筆舌に尽くしがたい。


さらに持つ竿は重い上に、針に付けるエサのアサリの身は小さい…


サザエなら簡単なのになどと思いながら、なんとか師の真似をしようと悪戦苦闘。


そのうち背中はツッパリ、真似をしようにもそんなに簡単に真似が出来るものでない。


私が必死で試行錯誤しながら自分自身と闘う様を見て、師は微笑む。


師は「松ちゃん、持竿の支点はどこになんな!!」と私に問う。


私は「解りません、持竿は初めてです!」と答えると師は竿を持って、


ここが支点になると言う位置を教えてくれた。 (今思えば、後日に四国方面へ釣行した折、現地はカラス貝のむき身で石鯛を釣るのが主流で、このアサリのむき身を使用した石鯛釣りが役に立った。今現在、アサリのむき身で石鯛釣りをする人は何人いるだろうかと思う。) 

 
 
 

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